皆さんはピアノのことを
「楽器の王様」(或いは女王様)
と呼ばれているのは、ご存知でしょうか?
ピアノ一台で音楽の3要素である
- メロディー
- ハーモニー
- リズム
全て表現することができ、ピアノの鍵盤数の88鍵は、
オーケストラの全楽器の音域の音を出すことができます。
となれば、
ピアノが「楽器の王様」と言われるのも納得です。
今日はその「王様」ピアノから、
グランドピアノの歴史について説明したいと思います。
Contents
世界最古のグランドピアノ
世界最古のグランドピアノは、
1709年頃に造られたと言われています。
チェンバロの製作者であったイタリアのバルトロメオ・クリストフォリが、
ピアノ(弱く小さい音)も、フォルテ(強く大きい音)も出せる
チェンバロを造ったのが始まりです。
チェンバロは、クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ
(音の強弱を出すことの出来るチェンバロ)と名づけられました。
「ピアノフォルテ」や「フォルテピアノ」
という呼ばれ方もしてきましたが、現在はさらに名前を略して
「ピアノ」と呼ばれているのです。
そのため、
チェンバロとグランドピアノは、とてもよく似た形をしています。
続いて、ドイツでは1730年代半ばに、オルガン製作者の
ゴットフリート・ジルバーマンがグランドピアノを製作しました。
ジルバーマンは、J.S.バッハの指摘を受け、グランドピアノの改良を繰り返したのです。
そして、1770年代にはイギリスで、1796年にはフランスでグランドピアノが
作られるようになりました。
日本最古のグランドピアノ
日本にある一番古いグランドピアノは、
1865年にアメリカのスタインウェイ&サンズが製作したものです。
1871年に日本に輸入され、
現在は水戸市の茨城県立歴史館に置かれています。
傷みがひどかったものを修復したので、
今でも十分な音色を奏でることが出来ます。
コンサートや体験演奏に使われていて、今も多くの人がその音色に触れています。
また、2005年に奈良女子大学で発見されたグランドピアノは、
大学創立当時の1909年に購入されたもので、こちらも日本最古級です。
奈良女子大の記念館に保存されている現役ピアノで、今も展示や演奏がされています。
グランドピアノの改良
昔のグランドピアノは、白鍵(白い鍵盤)に象牙を、
黒鍵(黒い鍵盤)には黒檀という植物が貼られていました。
鍵盤の先にあるハンマー状のアクションと呼ばれる部分には、
木材が使われています。
しかし、今のグランドピアノは、鍵盤に合成樹脂、
アクション部分にはABS樹脂が使われています。
アクションの部分は、音を鳴らす時に一度下がり打ちますが、
また、すぐに戻って次の打鍵に備えなければなりません。
この戻るスピードが遅いと、上手く演奏が出来ないのです。
長いグランドピアノの歴史の中で、アクション部分は改良が重ねられ、
すばやく同じ音を連打することが可能になりました。
世界3大ピアノメーカーとは
グランドピアノを扱うメーカーは世界に数多く存在します。
その中で、世界3大ピアノメーカーと言われる
- ベヒシュタイン
- スタインウェイ&サンズ
- ベーゼンドルファー
を少しだけ説明します。
ベヒシュタイン
まず、ベヒシュタインというメーカーについて紹介します。
ベビシュタインはドイツのピアノメーカーで、
1853年に創業した歴史ある会社です。
創業者のカール・ベビシュタインは、
フランスの最先端のメーカーでピアノ造りのやり方を学び、
その後、いくつものメーカーを立ち上げました。
1900年頃の生産ピーク時には、
年間3500台のピアノの生産をしていました。
スタインウェイ&サンズ
スタインウェイ&サンズは、
同年の1853年にヘンリー・スタンウェイが
創設したドイツ・アメリカに本社を置くメーカーです。
手工業から始まり、音響工学を設計に初めて組み込んだ会社で、
そのピアノの内部は特徴的な構造をしています。
19世紀末までに、多くの特徴的な構造を確立し、
幅広い音楽ジャンルに対応出来るピアノを生産してきました。
ベーゼンドルファー
ベーゼンドルファーは、音楽の都と呼ばれるオーストリアのウィーンで、
イグナーツ・ベーゼンドルファーが1828年に創業したメーカーです。
3大ピアノメーカーの中では、最も歴史あるメーカーとなります。
「愛の夢」などで知られるフランツ・リストの激しい演奏にも
耐えられる当時の中でも珍しいグランドピアノは、
リストと共に世界的なピアノとなりました。
現在は、グランドピアノの中でも、様々なモデルの製品を造っています。
まとめ
今回はグランドピアノについてお話しました。
イタリアのチェンバロ製作家によって造られ、
各国で更なる進化をしていきました。
現在でも、ピアノの心臓部である響板(きょうばん)はもちろん、
鋼(はがね)で作るフレームや細かい部品にいたるまで、
科学的な研究や実験が繰り返され、大きく進化しています。
アップライトピアノと電子ピアノが、グランドピアノに追いつこうと
進化を続けているように、グランドピアノも進化をしています。
「完成された楽器」と言われることもあるピアノですが、
より良い響きを持たせるために今日も改良が進められています。
コメント
コメント一覧 (1件)
とても分かりやすかったです。