宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選

PVやMVという言葉は、近年では音楽を語る上で、当たり前のように使われ、認識されている言葉ですが、元々PVやMVというものは、宣伝や芸術を目的としているものです。

ご存知かと思いますが、PVはPromotion Video(プロモーションビデオ)、MVはMusic Video(ミュージックビデオ)の意味で、一般的には、楽曲の宣伝のために制作する場合が多いです。

ただ以前とは違い、インターネットが普及したことにより、PVやMVの存在も少しずつ変化してきており、プロモーションやミュージックという枠を超えつつあるビデオが制作されるようになってきています。

そこで今回は、「宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選」と題しまして、かっこよくて素晴らしいPVとMVを紹介していこうと思います。

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選


今回は、下記の順番でPV・MVを紹介していきたいと思います。

・USK – bleeps love breaks
・Rymdreglage – 8-bit trip
・livetune feat. 初音ミク-Tell Your World
・Sigur Rós – Glósóli
・cokiyu – Your Thorn
・Björk – All is Full of Love
・capsule: JUMPER
・David Bowie – Love Is Lost
・viktoria modesta – Prototype
・Strawhatz – Koto
・まとめ

では、早速見ていくことにしましょう。

目次

USK – bleeps love breaks

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。最初に紹介するビデオは、イラストレーター兼アニメーターのKouks氏がPerfect Promotion 07に参加した際の作品です。

音楽は、チップチューンの第一人者であるUSK氏の楽曲『Bleeps Love Breaks』を使用しおり、時間軸の切なさが感じられる素晴らしい映像に仕上げられています。8ビットの音は、チープでありながらも、独特の空気感があり、リアルなPCMサウンドや物理音源では出すことのできない唯一無二の存在だと言えます。

また、ゲーム音楽を含め、チップチューンや初音ミクによる文化は、日本の誇りといっても過言ではないでしょう。

この作品は、10年以上も前の映像ですが、10年先の未来を予言したかのような内容となっており、映像に浮かんでくる活字は、過去のものでありながら始まりを意味していることに気付かされます。

こういった作品は一期一会ですので、もし何かを感じた場合は、ぜひ最後まで映像を楽しんでみてください。

Rymdreglage – 8-bit trip

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、スウェーデンの映像音楽ユニットRymdreglageによる2009年発表の『8-bit trip』です。

CGを一切使用せず、1500時間かけて制作した映像は、8bitの音とレゴブロックの質感が実にマッチングしており、音と映像の一体感を楽しむことができます。ちなみに、2015年には『8-bit trip』の4K映像バージョンが公開されております。

現在ではTシャツの販売などもしており、創作の幅は広がるばかりです。Rymdreglageの音楽は、テクノからダンスまで幅広い電子音楽を手掛けておりますが、どの音も映像がイメージできる内容なのが特徴で、その一体感は、「静」ではなく「動」と言えます。

Rymdreglageの作品は、時間軸の芸術ではありますが、生演奏に限りなく近い感覚だと言えます。『8-bit trip』も記録された音と映像ですが、生演奏に近い感覚は本当にかっこいいです。気になる方は、ぜひ他の作品も体験してみてくださいね。

livetune feat. 初音ミク-Tell Your World

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、livetune feat. 初音ミクで『Tell Your World』です。この動画は、Google ChromeのCMのために2012年に作られた映像楽曲で、生演奏、イラスト、CG、ダンス、コスプレといったクリエイター同士のつながりを表現しています。

つまりこの曲では、ヴォーカロイドという初音ミクの存在は、ヴァーチャルの域を超えて、リアルに限りなく近づいたことを証明しています。

初音ミクと言えば、これまでは、DTMといった限られた環境で制作された楽曲が中心でしたが、現在では、初音ミクとオーケストラによる作品も誕生しており、もはやアイドルやスターといった存在になっています。この曲は、初音ミクによる新しい文化の一つの完成形と言えます。

しかし、そうした新しい文化の背景には、やはりインターネットによる影響は大きく、動画投稿サイトやSNSの存在がなければ、大きく取り上げられることはなかったでしょう。ヴォーカロイドは、日本が誇れる一つの文化なので、今後の展開が実に楽しみです。

Sigur Rós – Glósóli

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、Sigur Rósの『Glósóli』です。2005年リリースのアルバム『Takk』に収録されている曲で、Sigur Rósを代表する作品の一つです。

Sigur Rósは、ポストロックという呼ばれ方をすることもありますが、実験的要素はあるものの、固定観念のない事由な発想や好奇心から生まれる音は、ポストロックという縛りではなく、唯一無二だと言えます。『Glósóli』とは和訳が難しい単語で、「光り輝く魂」といった意味があります。

ビデオでは、少年たちの純粋で透き通った邪気のない素直な心情が上手く表現されていて、ガラス細工のような、美しく繊細なSigur Rósの音世界と見事にリンクしています。ビデオの最後は感動的で、初めて映像見た方は少しびっくりするかもしれません。

ストーリー性が強く、宣伝用に作られたビデオとは思えない、極めて技術性の高い音楽映像の作品として仕上げっています。

cokiyu – Your Thorn

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、cokiyuの『Your Thorn』です。この曲は2011年にリリースされた楽曲で、発売当時は、非常に好評だった1stから4年ぶりの作品ということもあり、インディーズながらも、かなり話題となりました。

映像は、大橋史さんによる美しいアニメーションで、cokiyuさんのデリケートで繊細な音楽と同化しています。

今では、演奏家とVJによるライブパフォーマンスは当たり前のようにおこなわれていますが、この当時に、そのような要素を取り入れた映像作品は画期的だったのではないかと思います。実に素晴らしいです。

また、声や電子音、環境音など、身の周りにあるさまざまな音を、効果的に使い分けて作り上げる音楽は、新しい表現の一つとして、今もなお影響力のあるスタイルだと言えます。

cokiyuさんは、2枚のアルバムのほか、数多くのCM音楽を手掛けていますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

Björk – All is Full of Love

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、Björkの『All is Full of Love』です。Björkがこれまで発表してきたPVやMVは、どれも奇抜で衝撃的なものばかりですが、この『All is Full of Love』は奇抜さで言えば、現時点のBjörkの映像作品でダントツかもしれません。

映像は、イギリスの映像作家・VJのクリス・カニンガムによるもので、不気味な表情のロボットが抱き合いながらキスをする場面は衝撃的です。

AIという言葉がまだ今ほど認知されていない1997年の作品で、世界的に大ヒットした楽曲ではありますが、20年以上経った今、再度映像に触れてみますと、未だこの作品に時代が追い付いていないことに気付かされます。

非常にデリケートで繊細な作品ですが、どんなに技術が進歩しても、創造することは、決して無機質ではないことを教えてくれる、かっこいいビデオだと言えます。

capsule: JUMPER

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、capsuleの『JUMPER』です。capsuleは、perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースでお馴染みの中田ヤスタカさんによるユニットで、JUMPERは2008年のリリースですから、10年以上も前の作品になります。

EDM(electronic dance music)という言葉が多用される現在ですが、ブームになる前から、このような楽曲を制作しているところに、中田ヤスタカさんの才能を感じずにはいられません。

アメリカで生まれたEDMという言葉が、ヨーロッパやアジア(特に東京)で同時に発展したのも不思議なのですが、中田ヤスタカさんの音は、日本のクラブカルチャーで誕生した独特の存在感があります。

そして、2000年代後半から現在に至るまでの、ある種、日本における都会の文化を象徴するような音だと言えます。この『JUMPER』という作品は、音楽はもちろん、映像にも、そのような時代を反映する要素が凝縮されており、今見ても現在進行形なのだということに気付かされます。

David Bowie – Love Is Lost

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、David Bowieの『Love Is Lost』です。この曲は、アメリカのミュージシャン、プロデューサー、DFAレコーズの創設者であるジェームス・マーフィーによるリミックスです。

2013年の作品で、音も映像も現代のものですが、一言で形容できないほどのデビッド・ボウイによる情報がたくさん詰まった内容の作品です。

しかし、ビデオ制作でのコストは、その際に使用したUSBメモリ1本分のみだったとのことで、お金をかければ良いという訳ではないということを改めて認識させられる映像作品だと言えます。

年齢を重ねても、ポップになったとしても、「パンクこそ、非常に価値のある変化なんだ」という名言を残したボウイならではの、常に新しいものへチャレンジした姿勢が、この作品からも感じられます。

誰が、どんなに手を加えようとしても、デビッド・ボウイは、デビッド・ボウイなのです。本当にかっこいいです。

viktoria modesta – Prototype

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。続いて紹介するビデオは、viktoria modestaの『Prototype』です。

ヴィクトリア・モデスタは、ラトビアのモデル、シンガーで、擬足ポップアーティストの面ばかりが強調されますが、この人の映像を見てしまえば、そのような偏った見方が非常にむなしく感じることでしょう。創造することに、固定観念は不必要だということを教えてくれます。

作品はビジネスですから、商業的要素はもちろん存在しますが、かかわりのある人たちの思いが主義主張に流されていたとすれば、そこには、どのような力が加わったとしても、感動が生じることはありません。

人とのかかわりがあるからこそ、クリエイティブが可能なのです。『Prototype』というタイトルも実に素晴らしいです。理屈抜きでかっこいいです。

Strawhatz – Koto

宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選。最後に紹介するビデオは、Strawhatzの『Koto』です。Strawhatzはノルウェーのヒップホップダンスダンスチームで、ベトナムのノンラーをかぶってパフォーマンスするスタイルが話題となりました。

とにかく息の合ったダンスが素晴らしく、今回紹介する『Koto』では、日本人よりも日本の所作を理解しているような動きが感動的です。また、箏奏者の明日佳さんによる楽曲もかっこよく、映像も実に美しいです。

音楽と踊りは、ダンスミュージックに限った話ではなく、クラシックであろうが純邦楽であろうが、演奏をするということはリズムがあるということですから、自由な発想がとても大切になってきます。Strawhatzによる完成度の高いパフォーマンスをぜひお楽しみください。

まとめ

「宣伝の枠を超えたかっこいいPV・MV10選」と題しましてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?今回紹介したビデオは10作品だけですが、世の中には、数えきれないPVやMVが存在します。

また、近頃では企業などを通さずに、自ら映像作品を発信するスタイルも当たり前のようになってきました。中には、iPadやタブレットPCを駆使して、小学生で映像作品を公開している例もあります。

おそらく今後は、もっと柔軟性に富んだアーティストがたくさん誕生することでしょう。自分自身の目と耳を研ぎ澄まし、五感を通して、素敵な作品に出合えたら良いですね。皆さんの参考になれば嬉しいです。

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