最近人気が上がってきているフェンダー ジャガー。当時フェンダーが満を持して投入したフラッグシップモデルでしたが、フェンダーの思惑とは裏腹に発売当時はそれほど盛り上がらなかったのが事実です。しかしながら70年代後半以降人気を盛り返し、今ではジャガーを愛用するミュージシャンも少なくありません。
今回はそのジャガーをフィーチャーしてみます。
目次
- ジャガーとは
- ジャガーの特徴
- ジャガーのサウンドと使用する有名ギタリスト
- まとめ
ジャガーとは
フェンダージャガーは1962年にフェンダーのフラッグシップモデルとして市場に投入されました。オフセットコンタードボディ・24インチスケールのネック・ローズ指板・アルダーボディ・2ピックアップ・プリセット回路・トレモロアームと多くの要素、技術を注ぎ込んでジャズギタリスト、ギブソンユーザーを取り込もうとした意欲作でした。
ジャガーの歴史
1962年に登場したジャガーはフェンダーがカリフォルニアにあったということもありサーフシーンと積極的に関わろうとしていた形跡が広告からも伺えます。サーフィンをしながらジャガーを弾く男・サーフボードに寝転がっている女性とビーチに刺さっているジャガー、はたまたホットロッドを意識したのかジャガーを背負ってバイクでジャンプする男性などかなりバブリーな雰囲気が醸し出されています。
1975年の年末ジャガーは生産中止になります。その後ジャガーの良さがパンクロッカーを中心に見直され1984年に日本で再生産が行なわれ1999年にはアメリカ本国でもリイシューされます。そして現在でも派生モデルを含めレギュラーラインとして人気を博しています。
ジャガーの特徴
ネックはギブソンを意識したかのような24インチというショートスケールにローズウッドの指板というスペックで同時期に登場したジャズマスターとは差別化が図られています。弾きやすく設計されたオフセットボディはやや大きめ。ネックが短いので大きく見えるという点もあります。
全体としてプレイヤビリティの向上を求めたモデルといえます。ちなみに同時期に発売されたジャズベースも同じくオフセットボディが採用されています。これらの2本は文字通りフェンダーのネクストステップモデルだったのでしょう。
トレモロはジャズマスターと同じフローティングビブラートユニットを採用しており美しいビブラートを掛けることができます。アームはぐいっと突っ込むタイプになっており好きな位置で固定できるので使い勝手は非常に良いです。アームを動かすとブリッジも前後に動くのが確認できます。
ピックアップは2基搭載されており高周波シールド用のノッチサイドプレートをつけたシングルピックアップです。この金属板が見た目としてかなりの迫力を出しています。
回路は通常の1ボリューム/1トーンの他にプリセット回路を搭載しており、通常のコントロールとは独立しておりリードプレイとリズムプレイのサウンドを独立してコントロールすることができます。通常コントロールには3つのスライドスイッチがありそれぞれネックピックアップ・ブリッジピックアップおよびハイパスフィルターのオン/オフとなっています。
面白い装置としてはパームミュートを再現するゴムのミュート機構が付いていましたが、使い勝手と音が悪くなるという理由でプレイヤーからは利用されなかったようです。
このように、ジャガーはフェンダーのすべてを投入した意欲作といえるでしょう。
ジャガーのサウンドと使用するアーティスト
ジャガーのサウンドはまさにフェンダーの集大成とも呼べるものでこれがギターの王様ではないかと呼ばれるほど様々なサウンドが奏でられます。
イメージ的にはジャキジャキしたサウンドだと考えられていますが、実はそれはどちらかというとジャズマスターでありジャガーは非常に太くて甘いサウンドが得意です。もちろんリアピックアップを使えばサーフやパンクに使える金属的でジャキっとしたサウンドも出ますが、逆にフロントピックアップを使ってトーンを調整するとまさにマリブビーチのサンセットのようなスウィートな音が出ます。
発売当時ジャガーを使用していたミュージシャンとして有名なのはやはりザ・ビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンでしょう。アル・ジャーディンが弾いている姿も確認できます。典型的なジャガーサウンドを聞かせてくれます。ザ・ビーチ・ボーイズの50週年コンサートではデビッド・マークスがキャンディアップルレッドのジャガーをかっこよく弾いていました。
ギブソンユーザーの取り込みを狙ったギターですのでジャズ界でも重宝されています。有名なところではジョー・パスがテレビ番組でジャガーを使って弾き倒しています。超VIPで言うとジミ・ヘンドリクスが挙げられるでしょう。やはり彼は右利き用のジャガーを左に持ち替えて弾いています。
再評価後ですとフェンダーマニアなのかカート・コバーンを筆頭にエルヴィス・コステロ、ジョニー・マー、ジョン・フルシアンテ、ケヴィン・シールズなど枚挙にいとまがありません。彼らはジャガーのシャープなサウンドが気に入ったのだと思われます。
まとめ
ジャガーはなぜストラトやテレキャスターのようなポピュラリティを得られなかったかというと、ショートスケール+ビブラート・ユニットのおかげでサスティンが短かったためと言われています。当時の機材ですとそれも仕方はなかったでしょう。しかしながらオーヴァードライブ/ディストーションが発達した現在はその欠点は目立つものではなくなったように感じます。
要するに欠点がまったくないギターがジャガーなのです。オルタナでもハードロックでもカントリーでもジャズでもなんでもござれの万能なトーン、弾きやすいスケールと徹底的に追い込めるセッティング、高級感あふれかつクールなルックスといじりがいのあるコントロール、これらが相まってジャガーは人気モデルとして君臨しているのです。
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