ピアノをしている方なら分かるかと思いますが、
世の中の著名ホールで
スタインウェイがほぼ使われています。
はっきり言って太刀打ちを出来るメーカーは、
ないのではないのでしょうか。
そんな中、ほぼ唯一、
「できればあの楽器を弾きたい」
というトップアーティストが
増えているメーカーがあります。
それが、ファツィオリ(FAZIOLI)です。
この記事では、ファツィオリについて
説明していきたいと思います。
ファツィオリの概要
ファツィオリは、ローマに生まれたパオロ・ファツィオリが
1981年にイタリアで創設したピアノメーカーです。
パオロ・ファツィオリ自身は、
1978年に家具工場の一角で、ファツィオリピアノ工房を開きました。
そして、数年がかりで設計をした後、
1980年に初めて後に販売されるグランドピアノの原型を製造します。
翌年の1981年に報道機関などに発表し、正式に会社となりました。
ファツィオリ社の信念には、コンサート用のグランドピアノのみの製造とし、
生産量の増加を考えずに最高のクオリティだけを目指とあります。
また、他のどのピアノをまねることなく、
独自のサウンドを作ることをモットーとしています。
さらには、伝統技術と最新技術を組み合わせて、
一つ一つのピアノを手仕事で造り、改良に励むことも信念となっているのです。
そのため、年間130台ほどしか生産されません。
これらのコンセプトから、世界で最も高級なピアノと呼ばれています。
ただ、実際の価格はそうでもないようです。
2005年には、ファツィオリ・コンサート・ホールをオープンさせ、
隣にある工場からピアノを運び入れるだけでコンサートホールでの試弾を可能にしました。
2008年には、日本の総代理店ピアノフォルティが設立されました。
後の創立10年の2017年には、その名前をファツィオリジャパンに変更しました。
そして、2010年にはショパン国際ピアノコンクールの公式ピアノとして採用されるようになり、
歴史あるピアノメーカーに引けを取らず、名実共に世界的なピアノとなったのです。
他にも、高松国際ピアノコンクールやヨーロッパ国際ピアノコンクール・イン・ジャパン、
ルービンシュタイン国際ピアノコンクールやシドニー国際ピアノコンクールなど、
多くのコンクールでファツィオリのピアノが採用されています。
ファツィオリのピアノの特徴
ファツィオリのピアノの特徴は、
なんといってもプロ仕様のグランドピアノに限定して
生産されているところです。
グランドピアノの大まかなモデルは、
- スタンダードモデル
- アートケース・ピアノ、
- カスタムメイド・ピアノ
の3種類です。
ファツィオリでは、響板を製作した後、2年間倉庫で熟成させます。
また、ハンマーのフェルトに至っても手作業で造るため、
とても弾性のあるハンマーを造ることが出来ます。
さらに、通常ピアノのペダルは3本ですが、
その左側に4番ペダルを付けたピアノがあり、
このペダルによって鍵盤を浅くすることが可能です。
これは特許を取得しており、ファツィオリが狙っているピアニッシモの効果だけではなく、
グリッサンドなどが弾きやすくなるという利点があります。
標準搭載されているピアノは限られていますが、
他のピアノでもオプションで4本ペダルにすることが出来ます。
ファツィオリと音楽家たち
ファツィオリのピアノは、大勢のアーティストたちに支持されています。
スタニスラフ・ブーニンやダニイル・トリフォノフ、
リチャード・グードやエリザベス・レオンスカヤなど、
多くの演奏家たちがファツィオリにメッセージを寄せています。
また、ジャズピアニストの岸ミツアキはファツィオリのピアノを所有していますが、
そのピアノはパオロ・ファツィオリと相談して製作された特別なモデルです。
ファツィオリのピアノを演奏するなら
ファツィオリのピアノの価格は、
一般には公開されていませんが1000万円から2000万円程度で、
世界3大ピアノメーカーなど、他の高級ピアノーメーカーと変わりません。
中古のピアノに関しては、まだ歴史が浅いことや年間生産台数が少ないことから、
あまり出回っていません。
しかし、日本にあるいくつかのホールなどにファツィオリのピアノが置いてあります。
滋賀県にある栗東芸術文化会館さきらを始め、石川県のこまつ芸術劇場うらら、
東京都の豊洲シビックセンターなどに置かれています。
興味がある方はぜひ。
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