フェンダーギターといえばストラトキャスターとテレキャスターが有名です。日本ではムスタングも人気がありますが、フェンダーにはまだまだ多くのイケてるギターがあります。今回はその中でもかなりマニア受けする(?笑)Duo Sonicをご紹介します。
目次
- デュオソニックとは
- デュオソニックの特徴
- モデルの変移
- ネックスケール
- スペック
- サウンドと使用する有名ギタリスト
- まとめ
デュオソニックとは
フェンダーは1939年にK&Fという社名でスタートし、50年にエスクワイヤー、51年にはプレシジョンと続々と新しいギターやベースを発表しました。それらのモデルは大成功をおさめ、ギブソンなどと同じようにフェンダーは高い人気がありました。一方そのようなメーカーよりも安価なローエンドモデルを販売していたハーモニーやケイ、シルバートーンなどのメーカーのギターは子供や学生に人気がありました。
営業サイドからの要望もあり、フェンダーはスチューデントモデル市場に参入します。そこで販売されたモデルの1つがデュオソニックです。
デュオソニックの特徴
マイナーチェンジの様子やスペックについて紹介します。
モデルの変遷
デュオソニックの初登場が1956年、1959年にマイナーチェンジをし1964年にデュオソニックIIとして大幅に変更され1969年まで販売が続けられます。その後1993年にメキシコ生産により復活スクワイアブランドのものと合わせ1999年まで販売され再びカタログから消えます。
その後2008年にスクワイアブランドで初代の復刻がなされ、2016年には初代のものと似たバージョンと、リアピックアップがハムバッカーのバージョンが復活しました。
ネックスケール
初代デュオソニックのスケールは22.5インチ(572mm)。ストラトキャスターなどの25.5インチ(648mm)と比較し非常に短く、ギブソン標準の24.75インチ(628mm)とくらべても短くなっています。
デュオソニックIIは24インチとやや長くなり、1990年代のメキシコ製はスケールは22.7インチ、2000年代に入ってからは24インチとなっています。いずれにしてもスケールは短いので手が小さい人にも扱いやすいギターといえます。
スペック
ここでは60年代のデュオソニックの仕様を主に記します。
初代デュオソニックのボディはストラトキャスターと比べて小ぶりでピックアップはシングルコイルを2基レイアウト。ネックは短く指板は初代がメイプル、マイナーチェンジ後にはローズウッドという仕様でした。ブリッジは固定されておりサイズは小さく、2本の弦を1つのサドルに乗せるデザイン(テレキャスターのように)と非常に簡素なものとなっています。ピックアップはカバーされたシングルコイルが載っており、出力は小さめ。
初代はカラーバリエーションが無く、また金色のアノタイズド・アルミニウムのピックガードが非常に特徴的。マイナーチェンジ後ピックガードはプラスチックになります。
IIは当時発売されたムスタングの部品を流用しているようで、さながらムスタングタイプのブリッジのトレモロなしバージョンとのようでした。初代と比べるとボディもやや大きくなり、ピックアップのセレクターが初代は高音弦側のホーンの下のトグルスイッチでしたが、IIはムスタングと同じ2つのスライドスイッチとなり2つのピックアップを同時に使うとハムキャンセル機能が使えました。
ボディ材は60年代はアルダーあるいはアッシュでかなり軽量です。やはり体の小さい子供や女性が扱いやすいように取り回しの良好さには気が使われています。
サウンドと使用する有名ギタリスト
デュオソニックはその簡素なスペックと軽量さにより重厚なサウンドではなくカラっと乾いた素朴なサウンドを奏でます。しかしながらピックアップが2基搭載されているためサウンドのバリエーションは多く、ブリッジが固定されているためにチューニングも狂いにくいと中々使い勝手の良いギターといえます。スケールの短さからくるサスティーンの短さ、緩いサウンドもまた魅力的です。
元々スチューデントモデルのため発売当時プロのギタリストが使っているケースはあまりないのですが、カーティス・ナイトやアイズリー・ブラザースのバックを務めていたときのジミ・ヘンドリクスやブルースマンのマイク・ブルームフィールドやジョニー・ウィンター、マイルス・デイヴィスのバンドにいたときのジョン・マクラフリンが使用しているのが確認できます。したがってソウルからブルース・ロック、ジャズまでカバーできたということになります。
その後シーンから姿を消したデュオソニックですが、1970年代後半ニューヨークのパンクシーンで復活を遂げます。トーキング・ヘッズのデビッド・バーンやNYパンクの女王パティ・スミスなどが使用し始めその再発見はイギリスにも飛び火しオルタナティブシーンでの使用が盛んになりました。リズ・フェアが使用しているのもその流れといえます。
このオルタナ勢がデュオソニックを愛用したのはやはりその簡素なサウンド、ちょっとビザールな雰囲気に惹かれたと考えられます。また小さなボディが女性アーティストにフィットしたことは間違いありません。
まとめ
デュオソニックは決して王道を行くギターではありませんが、フェンダーが何度となく復活させるのはやはり一定のニーズがあるからで、現行バージョンはこれまでのデュオソニックの欠点をすべて解消しかつこのギターの持つメリットはそのままにしているという印象です。現行バージョンはブリッジもがっちりしたストラトキャスター的なものとなっておりリアハムモデルも登場するなど即戦力になるギターになっています。
もし小さくて軽いギターが好きだ、あるいはムスタングのブリッジ調整がわずらわしい、ストラトは普通すぎてイヤ、などという人にとってデュオソニックはうってつけのギターとなるでしょう。現行モデルのカラーバリエーションはかなり女子を意識していますので一度チェックしてみては?
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