別名ボルトオンネックとも呼ばれるデタッチャブルネックとは、1940年代にフェンダーが世に知らしめたネックとボディのジョイント方式の事です。それまではボンドでボディとネックを接着してしまう、セットネックと呼ばれるジョイント方法がポピュラーでした。
フェンダー以降のギターの歴史において、デタッチャブルネックは絶対に切っても切れない要素です。今回はデタッチャブルネックについて、特徴やメリットについてまとめてみようと思います。
Contents
目次
- 当時としては超画期的な構造、誕生の歴史
- 良い事ばかり? デタッチャの利点
- サウンドの特徴
当時としては超画期的な構造、誕生の歴史
Fenderは元々はK&Fという名で1939年に設立され、1946年にFENDER Electronic Instruments Co.と名を変えます。そして1950年、テレキャスターの原型ともいえるブロードキャスターをトレードショーで発表。このブロードキャスターに採用されたジョイント方式こそがデタッチャブルネック。
デタッチャブルネックは英語にするとdetach(取り外し)_able(可能)となり、文字通り取り外し可能なネック、となります。ボディからネックを外せるということは当時としてはそれだけ画期的な構造でした。
ちなみにブロードキャスターを発表した1950年の翌年、1951年にフェンダーは世界初のフレット付きエレクトリックソリッドベースであるプレシジョンベースを発表します。まさにエレキギター、エレキベースの創成期といえるかもしれませんね。
良い事ばかり?デタッチャの利点
フェンダーデタッチャブルネックの利点は大きく3つあります。
1 ネックとボディを別々に製造する事が出来る
セットネックの場合にはネックとボディはセットで製作するため、塗装や組み込みには手間がかかってしまいます。デタッチャブルネックであればネックとボディは別々に製造する事が可能なために製造効率が圧倒的に優れており、結果的に製造コスト、販売価格を抑える事が出来ます。
2 木材を切りだす効率が良い
フェンダー式のデタッチャブルネックの従来のセットネック式からの改善点はジョイントだけではありません。角度付きのヘッドが主流でしたが、Fenderは段付きのヘッドを採用しました。 これにより、1本の丸田からより多くのネックを切りだすことが出来るようになりました。これを歩留りが良いと表現し、歩留まりが良くなると当然製造コストは下がります。
フェンダーの木材の選定、塗料の選定、構造の選定、全ては徹底したコストカットが根本にありました。当時フェンダーが評価された理由の1つは間違いなく価格の安さです。
3 ネックを外す事が出来る(容易)
ネックを外せる、交換できるというのはデタッチャブルネックの大きな強みです。ネックが修復不可能なダメージを受けても交換してしまえば済むのです。その他にもデタッチャブルネックのメリットはメンテナンス性の良さが挙げられます。
リペア作業においてデタッチャブルネックのギターの方がセットネックのギターよりも各段に効率よく作業が出来るため、料金自体が違っている事がほとんどです。
デメリット
良い事だらけに見えるデタッチャブルネックも、明確な欠点が1つあります。それはヒールの自由度の低さです。ボルトを使うためにヒールのシェイピングには制限があり、セットネックやスルーネックのようにスムースなヒールを形成することはできません。
ただし、これはプレートを使わずにボルトで固定することである程度の改善は可能で、特にベーシストには大きなデメリットとは呼べないかもしれないですね。
サウンドの特徴
フェンダーがデタッチャブルネックを使った理由は単にコスト面ですが、サウンドも非常に特徴的でそれはフェンダーギターのキャラクターを形成する上で非常に大きな要素となりました。
アタック感があり、ジャキっとしたトレブリーなサウンドこそが、フェンダーらしさといえるでしょう。逆にセットネックはスムースな弾き心地、サウンドが特徴的で、弦振動のロスが少ないためにサスティーンが長いとも言われています。逆に、フェンダーのアタック感はサスティーンを犠牲にしているからこその個性といえますね。
コメント