BOSS”技 WAZA CRAFT”シリーズの空間系エフェクターをレビュー!

BOSS”技 WAZA CRAFT”シリーズの空間系エフェクターをレビュー!

世界中で愛用され続ける定番コンパクトエフェクターを多数開発しているBOSS。
最初のコンパクトエフェクターが誕生してから今年40周年を迎えた老舗ですが、近年では従来の定番モデルをブラッシュアップしたような製品も多く発売しています。

今回ご紹介する”技 WAZA CRAFT”シリーズは、ブラッシュアップどころか「より良いBOSSエフェクター」へのバージョンアップを目指したかのようなコンセプトの製品です。

機能的にはこれまでの定番機種と同じでありながら、BOSSの音に対するこだわりが随所に感じられる非常に興味深いシリーズとなっています。

今回はこの”技 WAZA CRAFT”シリーズについて、空間系エフェクターを中心にご紹介したいと思います。

■技 WAZA CRAFTとは?
このシリーズは簡単に言えば、オリジナルメーカーBOSS自社による、現行商品や過去の名機のグレードアップ版です。
しかしパーツを足したりとか、部分的に交換するなどのちょっとした改良には止まりません。
これまでBOSSエフェクターの開発を行ってきたクラフトマン達自身による、回路全体の見直し、作り変えが行われています。

業界最先端のデジタル技術を持つBOSSですが、このシリーズはパーツの選定から厳選して新たに組み上げられたアナログ回路が搭載されています。
そして出荷前に日本国内でのサウンドチェックを行うという、どちらかと言えば安価で手に入りやすい量産品のイメージが強いBOSSですが、このシリーズは非常にこだわって開発されていることが伺えます。

目指しているところはとにかく「いい音」を提供する、そのためにこれまで培ってきたクラフトマンシップを結集して注ぎ込むという、徹底的なサウンドへのこだわりです。

現在隆盛を極めるハイエンドエフェクターに対するBOSSからの回答にも見えます。
BOSSらしい手に取りやすさ、使い勝手の良さはそのままに、ハイエンド系と遜色の無いクオリティを持つ”技 WAZA CRAFT”シリーズにBOSSの意気込みを感じます。

ここからはこのシリーズの中から、空間系・モジュレーション系のペダル3機種を見ていきます。

■DM-2W:蘇ったアナログディレイの名機
アナログディレイの名機として名高いBOSSのDM-2は1984年に生産完了していますが、以降も根強い人気があり、現在も中古市場で取引があるほどです。

このDM-2WはBBD(遅延素子)を使用したフルアナログ回路にるアナログディレイ。

スタンダードとカスタムの2モード切り替えが可能。
スタンダードモードではオリジナルDM-2のディレイタイムや音の減衰の仕方などサウンドを完全再現しています。
カスタムモードではディレイサウンドがクリアになり、最長ディレイタイムが800msまで伸び、より現代的な趣に。しかしアナログの暖かみは失われていません。

オリジナルには無い現代版仕様として、エクスプレッションペダルを接続しディレイタイムのコントロールが可能になっています。
さらにディレイ音とダイレクト音を2系統出力し、ステレオエフェクターとしても使用可能になっています。

サウンドはデジタルほどはっきりはしませんが十分にクリア、かつアナログの暖かみと音の減衰感がちゃんとあり、邪魔にならない非常に使いやすいディレイサウンドという印象です。
操作感が非常にシンプルなので、初心者の方の一台目のディレイとしてはかなり有力だと思います。

カスタムモード、エクスプレッションペダル、ステレオ出力などを駆使すれば、アナログディレイながらかなり幅広いサウンドメイクも可能です。
お値段も¥17,000前後と考えれば、使い勝手と音の良いディレイペダルとして有力候補になります。

■VB-2W:知る人ぞ知る個性派ペダルが復活
1982~84年の間に販売されていた珍しいペダルVB-2 Vibratoが”技 WAZA CRAFT”で復活。

「ビブラート」とは聞き慣れないエフェクターですが、その効果はとてもユニークです。
簡単に言えば、コーラスエフェクトから原音を抜き、ピッチの揺れているエフェクト音だけが出ている状態です。
ドライ音が無く揺れている音だけが出るので、ビブラートがかかったエフェクトを得ることができます。

現代版のVB-2Wのコントロールはオリジナルをそのまま踏襲し、
・RATE:ビブラートの速さを調節する。
・DEPTH:ビブラートの深さを調節する。
・RISE TIME:ビブラートの立ち上がりを調節する。
という3つのノブでサウンドをコントロールします。

これらに加え3種類のモード切り替えノブがあり、
・LATCH:ONにするとエフェクトが常にかかる。通常のペダルと同じ。
・UNLATCH:ペダル踏み込み時のみエフェクトがかかる。
・BYPASS:OFF時にBBD回路を迂回する(エフェクトONも可能)。
という3モードがあります。

オリジナルと大きく異なるのはバイパスモードでもエフェクトONが可能になっている点。
こうなるとラッチモードとほとんど差がないように思えますが、エフェクトOFF時に回路を通るか通らないかという点で、音質面でこだわりたい方には良いかもしれません。

もう一点オリジナルに無い機能として、スタンダード/カスタムの2モード切り替えがあり、カスタムモードではフィルターのかかったより特徴的なビブラート効果が楽しめます。

その他エクスプレッションペダルによるデプスのコントロールもオリジナルには無い仕様です。

基本的にはオリジナルを踏襲しながらもローノイズ化、音質の向上など基本性能が向上しています。
とてもユニークなペダルなので、個性的なエフェクターをお探しの方はぜひ。

■CE-2W:オリジナルコーラスが復活
世界初のコーラスペダルは1976年のBOSSのCE-1という大型のペダルで、そのサウンドをコンパクトな筐体で提供したのが1979年登場のCE-2というコンパクトコーラスでした。
それ以来、BOSSオリジナルのコーラスサウンドはずっと愛され続けています。

このCE-2WはBOSSコンパクトエフェクター40周年を記念して、メイドインジャパン仕様で生産されるBOSS気合の一台です。

このCE-2Wには3つのモードがあり、
・STANDARD:CE-2のサウンドを再現。スッキリとクセのないサウンド。
・CE-1 CHORUS:CE-1のCHORUSチャンネルのサウンドを再現。深い揺れとマイルドな音。
・CE-1 VIBRATO:CE-1のVIBRATOチャンネルのサウンドを再現。特徴的な深い揺れ。
となっています。

BBDを採用し、当時の設計を再現したフルアナログ回路により、サウンドの再現度は非常に高いです。
実際にオリジナルのCE-2やCE-1を弾いたことがある人のレビューを読むと「ほとんど同じ」という意見が多いです。
CE-1モードに関してはJC-120の内蔵コーラスがコンパクトになったと言えば分かりやすいかと思います。

コントロールはRATEとDEPTHの2ノブと非常にシンプルで操作性抜群。オリジナルCE-1のCHORUSチャンネルではDEPTHのコントロールができませんでしたが、可能になりました。
オリジナルCE-2には無かったステレオ出力も搭載しています。

名機の再現という点でももちろん素晴らしいですが、初心者にも扱いやすいので、近年発売の良質なフルアナログコーラスとしてもおすすめの一台です。

■まとめ
ここまでBOSS”技 WAZA CRAFT”シリーズの空間系エフェクターについて見てきました。

BOSS40年の歴史と含蓄の結晶とも言えるこれらのシリーズは、本当にどんなギタリストにもオススメできる普遍性を持ったペダルばかりです。
音の再現度も非常に高いため、これからオリジナル機の中古品を探すよりも圧倒的にコスパも良いです。

ぜひ一度お試しください。

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