エレキギターといえばGibsonのLes Paulだという方、多いのではないでしょうか。他にもSG、Flying V、Firebird、Explorerなど、Gibsonは多くのプロダクトを開発しました。
これらの定番ソリッドギターはもちろんGibsonの主力製品で大きな魅力ですが、同時にGibsonはセミアコ・フルアコのアーチトップ・ギター開発でも長い歴史を持っています。
特に近年では、2000年に発足したGibsonのメンフィス工場がESシリーズに代表されるアーチトップ・ギター生産に特化した独立部門となっており、現代的なニーズにも応える新製品がラインナップされています(ESシリーズの代表といえばセミアコES-335やフルアコES-175など)。
今回はそのGibson Memphisによって開発された、比較的新しいアーチトップ・ギターを紹介します。
■ES-339
ES-335と同じラミネイト・ボディ+センターブロックのセミアコ構造でありながらレスポールに近い小ぶりなサイズが特徴のこのES-339。ボディサイズが小さい分抱えやすいのですが、スケールは通常のギブソン・スケールなので弾き心地に違和感はありません。
ソリッドギターからセミアコへの持ち替えは、サイズが急に大きくなるので違和感を感じやすいのですが、このギターであればスムーズに持ち替えられるでしょう。
ボディが小ぶりとはいってもボディ構造はセミアコなのでジャズ的なクリーントーンはもちろんいけますし、大音量&歪み多めの音作りでも通常のセミアコよりハウリングに強いです。
普段ソリッドギターとの持ち替えが多い方や、オールマイティなセミアコが欲しい方にはピッタリだと思います。初心者の方の一本目のギターとしてもおすすめできます。
■ES-275
ジャズギターにおいてフルサイズの本格的なフルアコは定番であり、ジャズ入門者にとっては憧れです。
しかしL-5やL-4などの大きなサイズのフルアコは、欧米人と比べて華奢な体型の日本人には合わないことも多いのです。同時にボディサイズが大きいほどハウリングも起こりやすく、上質なギターなのに演奏環境によっては非常に使いにくいこともあります。
そういった日本人の体型に合う、取り回しの良いジャズギターというコンセプトで開発されたのがこのES-275です。このギターはセンターブロックを持たないフルアコ構造ながら、ES-335のような薄い胴厚を持ちます。
なので抱えた時の収まり方は非常に快適なのですが、生音の鳴りはまさにフルアコのそれ。アンプを通した音は、まさしくGibsonのジャズギターの音を匂わせながらも締りのある現代的で独自のサウンド。
ジャズギターとして上質でありながら高い汎用性を持ったギターというのは少なく、このギターはそれを実現したモデルと言えるでしょう。本格的なジャズギターをやりたい方の第一候補にも、あまりジャズはやらないがフルアコは一本欲しいという方にもおすすめできるギターです。
■ES-Les Paul
「ES-335とLes Paulの融合」がコンセプトのこのES-Les Paul。パッと見て目が行くのは通常のレスポールサイズのボディにFホールが空いているところ。しかしこのギター、単に「レスポールに穴を空けただけ」ではありません。
ボディのトップ/サイド/バック全てにラミネイト・メイプルを使用し、ボディ中央にセンターブロックを入れるというES-335のようなセミアコ構造を持ちます。つまりソリッド・ギターの内部に空洞を作ったチェンバー構造ではなく、しっかり箱型になってるということ。
センターブロックはマホガニー材になっており、レスポールの特徴であるメイプル・トップ&マホガニー・バックのテイストを取り入れています。
オーソドックスなジャズギターやブルースにもピッタリな甘いクリーントーンから、伝統的レスポールらしさを感じさせる歪みまでカバー。しかしセミアコ構造からくるエアー感はしっかり持っているという、とても面白い位置にいるギターです。
箱物ギターにはつきもののハウリングに対してもレス・ポールサイズであれば非常に強いですし、第一にとても軽くて取り回しやすいです。
とても多くのニーズに一本で対応できる、多くのギタリストにおすすめできるギターです。スタンダード仕様以外にも様々なスペック違いのモデルがあるのでぜひチェックしてみてください。
■まとめ
いかがでしょうか。過去の名品を再生産するだけでなく、新しいニーズにも果敢に取り組むGibsonの姿勢が垣間見えると思います。
どれも個性がありながら普遍性を持っている、長い歴史を持つメーカーだからこそ作ることができるギター達です。ぜひ手にとって確かめてみてください。
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