「ショパンが愛したピアノ」
と言われるピアノメーカーを
プレイエル (PLEYEL)ご存知でしょうか?
音楽好きの方なら、2010年のショパン生誕200年の際に耳にしたことが
あるかもしれません。
今回は19世から20世の初頭まで、
数多くのピアノを産出したピアノ大国フランスが
誇るピアノメーカープレイエルについて説明します。
プレイエルの概要
プレイエルは、
作曲家であったイグナツ・プレイエルとその息子が
1807年にフランスで設立したピアノ制作会社です。
世界最古のピアノメーカーであり、
長く愛されています。
最初はパリに工場を構えていましたが、
経営権が引き継がれたと同時に、サンドニへ移されました。
そして、1866年にはパリに3軒、ブリュッセル、
ロンドン、シドニーに1軒ずつ支店を持つほどに、
大きな会社へと成長しました。
さらに、1927年にはパリにサル・プレイエルというコンサートホールを造りましたが、
1929年には、ウォール街大暴落の影響を強く受け、経営が落ち込みました。
その後1934年に破綻し、サル・プレイエルは、
クレディリヨネ銀行に買収されました。
プレイエルのピアノ部門は1961年にガボー・エラールと合併しましたが、
このとき多くのピアニストが「プレイエルの音は消えた」と言いました。
その後も買収が続き、
1998年にサル・プレイエルとプレイエルのピアノ製造会社が
再統合されました。
サル・プレイエルは2006年9月から再び使用されるようになり、
オーケストラの公演を中心に多くのコンサートが行われています。
しかし、2008年度には20台、2009年度には16台の受注生産のみで、
2013年以降生産は行われていません。
プレイエルでは、
これまでグランドピアノとアップライトピアノが製造されていました。
また、最初のハープを製作したり、
ハープシコードの復活に尽力したことでも有名です。
プレイエルとショパン
多くの作曲家の中でも、
ショパンはプレイエルのピアノを愛用していました。
「気分がよく体力がある時は、プレイエルのピアノを弾く」
と言うほど、プレイエルにこだわっていたようです。
また、ショパンは28歳の時マヨルカ島に逃れ1年ほど
滞在していましたが、その時も関係者に頼んで、
プレイエルのピアノを持ってきてもらうほどでした。
ショパンがプレイエルのピアノを愛していたのは、
彼がパリに来た時に聴いたその音色の美しさや豊かさに
魅了されたためです。
そして、
プレイエルの2代目社長で、イグナツ・プレイエルの息子である
カミーユ・プレイエルにピアノの能力を
見出され深い友人になったこともあり、
パリデビューはサル・プレイエルで演奏したのです。
また、パリでの公式コンサートは全てサル・プレイエルで開きました。
プレイエルのピアノの特徴
プレイエルのピアノの音色は、
明るくやわらかく澄んでいます。
全体的に音量があまり出ませんが、
弱い音で弾いても音色が変化しやすいという特徴があります。
また、高音にいくほど音量が小さいことから、
ショパンの曲はこの影響を受け、
多くの曲で高音域をクレッシェンドで弾くように記しています。
響きも伸びがあることも有名です。
プレイエルのピアノは、茶色と黒の2種類がありますが、
どちらも美しい色をしており、優れたデザインを有しています。
プレイエルと音楽家たち
プレイエルのピアノは、
現在製造されていないこともあり、見かけることが少ないものですが、
ショパンを演奏する際に使用する人が多いです。
実際にプロのピアニストである横山幸雄さんは、
ショパンの曲をプレイエルのピアノで演奏したCDを
発売しています。
作曲家と同じメーカーのピアノを弾くことで、
当時ショパンが演奏したままの実際のイメージに
近いピアノ演奏を楽しむことが出来ます。
プレイエルのピアノを演奏するなら
現在、生産が行われていないプレイエルのピアノですが、
中古で購入すると弾くことが出来ます。
中古で購入する際は、製造年を確認しましょう。
一般に、プレイエルのピアノは1900年から1925年の間に製造されたものが
最も品質の高いピアノであるとされています。
ちょうどこの時期は、プレイエルの最盛期であり、
プレイエルの音色が失われる数年前となります。
中古のピアノですが、今でもアップライトピアノは200万前後で売買されています。
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