エレキギターの王者のひとつ、フェンダー・テレキャスターは1950年のデビュー以来70年近く製造が続けられているモンスターギターです。そのテレキャスターに、実はfホールがついたホロウボディのモデルがあります。それがテレキャスターシンラインです。今回は知っているようで知らないTelecaster Thinlineについてまとめてみようと思います!
Contents
目次
- テレキャスターシンラインとは
- テレキャスターシンラインの特徴
- テレキャスターシンラインのサウンド
- どんな音楽にマッチするのか ~テレキャスターシンラインを使う有名アーティスト~
- まとめ
テレキャスターシンラインとは
1960年代、フェンダーが使っていたボディ用の木材の関係でテレキャスターの重量が重くなり弾くのがツラい状況になりました。そこで中身をくり抜いてしまえば軽くなるだろうと考えられたのがこのフェンダーテレキャスターシンラインです。それに伴ってfホールと呼ばれる装飾がついたことでルックスもおしゃれに。それが1969年のことです。
ちなみに「Thinline」とは「2つのうちの薄い方」という意味ですが特に普通のテレキャスターと比べて薄いわけではありません。「薄いホロウボディ」というくらいの意味合いのようです。
テレキャスターシンラインの特徴
1969年に登場したフェンダーテレキャスターシンラインは通常のテレキャスターのボディをマホガニーにして中身をくり抜いたものでした。ピックガードのシェイプが変わり、フロントピックアップがボディへのダイレクトマウントではなくピックガードに付いているという違いがあります。ソリッドボディのテレキャスターに比べると非常に軽量なものになりました。
1972年には「フェンダーテレキャスターデラックス」をベースにハムバッカーを2つ搭載したモデルが登場します。こちらはボディにはアッシュ材が使われています。また72年型はジョイント用のビスは3点止めになり、ブレットナットと呼ばれるトラスロッドの調整用のナットはヘッド側に取り付けられています。
一般的なセミアコースティックギターとは違い、箱を作るのではなくボディをくりぬき、ふたをします。これはセミソリッドと呼ばれるシンラインの特徴ですね。基本的にはネックも指板もメイプルですが、ローズ指板のモデルも存在しています。
テレキャスターシンラインのサウンド
69年型シングルコイルのシンラインはマホガニーのボディとも相まって甘いサウンドが出ます。このサウンドが絶品で従来のテレキャスターのイメージをくつがえすものです。しかも軽くて弾きやすいのでいろいろな場面で使えるギターです。実はボディをくり抜いてあるといってもそれほど中は空洞になっているわけでもなく、アンプをつながず弾いたときの生鳴りは特に大きくはありません。それが逆に大きなアンプに繋いだときのハウリング対策になっています。ギターボーカルの人が弾くギターとしても使えますし、リードギタリストがバリバリ弾き倒すのも面白いかもしれません。
一方、72年型のハムバッカーのモデルはちょっと変わっています。このハムバッカーピックアップはワイドレンジハムバッカーと呼ばれ、かの有名なギブソンのPAFピックアップを作ったセス・ラバーによるデザインです。通常のハムバッカーよりも大きめのサイズで独特のルックス。シングルコイルのテレキャスターよりも甘いサウンドですが、ギブソンのようなサウンドと比べるとテレキャスターらしいエッジのきいたシャープさがあります。
どんな音楽にマッチするのか ~テレキャスターシンラインを使う有名アーティスト~
ホロウボディ構造や後から登場するワイドレンジハムバッカーから出力されるシャープかつメロウなサウンドは多くのジャンルで使われますが、オールドスクールなSoul / R&Bにおいては特に高い人気があります。
有名なところでは60年代後半から一世を風靡したスライ&ザファミリーストーンのスライ・ストーン、泣く子も黙る大御所カーティス・メイフィールド、ジェイムズ・テイラーの相棒、セッションマン、ダニー・コーチマー、ブルー・アイド・ソウルのスーパースター、ホール&オーツのジョン・ホールなどのソウル系を始めとして新進気鋭のブルースマン、タブ・ベノワ、ジャズではエド・ビッカートやビル・フリゼールなどの名手がテレキャスターシンラインを愛用します。特にカーティス・メイフィールドのワウペダルを使ったカッティングは絶品でテレキャスターシンラインのサウンドを堪能するにはもってこい。このようなミュージシャンに好まれたのはやはり甘いながらもシャキっとしたそのサウンドだと考えられます。
日本人ギタリストですと筆頭にあげられるのが元キャロルのジョニー大倉。女性の愛用者も多く、チャットモンチーの橋本絵莉子、スキャンダルのHARUNAなど一流ミュージシャンがゾロリ。
まとめ
このようにテレキャスターシンラインは軽量で使い勝手がよく、音も適度に甘く適度にエッジー。ルックスもキュートかつカッコイイ、という非の打ち所がないギターに仕上がっています。対応する音楽ジャンルも問わないので、ギターロックでガッツリいくのもフェンキーなカッティングでキメるのも、はたまたジャズセッションにかついでいくのにもバッチリなよき相棒となること間違いなしです。
コメント