美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選

ピアノは小さなオーケストラとも呼ばれており、低音から高音まで伴奏とメロディーを同時に奏でることができる鍵盤楽器です。その美しく煌びやかな音色を活かした楽曲は多く、特にクラシック音楽では珠玉の名曲と称される作品が時代を超えて世界中の音楽ファンから支持され続けています。

そこで今回は、「美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選」と題しまして、誰もが一度は耳にしたことがあるクラシックピアノの名曲を紹介していきたいと思います。

目次

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選

今回ご紹介する楽曲は下記の通りです。

1.乙女の祈り(バダジェフスカ)
2.主よ,人の望みの喜びよ(バッハ)
3.トルコ行進曲(モーツァルト)
4.エリーゼのために(ベートーヴェン)
5.即興曲第2番(シューベルト)
6.幻想即興曲(ショパン)
7.春の歌(メンデルスゾーン)
8.トロイメライ(シューマン)
9.愛の夢第3番(リスト)
10.月の光(ドビュッシー)

それでは、実際に楽曲を聴いてみましょう。

乙女の祈り(バダジェフスカ)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。先ず初めに紹介するピアノ曲はテクラ・バダジェフスカ作曲の『乙女の祈り』です。バダジェフスカはポーランド出身の女流作曲家で、『乙女の祈り』は18歳の時の作品と言われており、シンプルで親しみやすい感傷的なメロディーで幅広く人気のある楽曲です。

日本では、ベートーヴェンの『エリーゼのために』と並びクラシックピアノの代名詞的存在の曲で、ピアノの発表会でもお馴染みのポピュラー作品として親しまれています。

曲そのものは、主題のメロディーを少しずつ変奏していく内容となっており、中級程度のレベルで弾けるとされていますが、一定のリズムをキープしながら、全体のバランスを維持しての演奏が非常に難しい作品だと言えます。特に終盤は高度な芸術性が求められます。

主よ,人の望みの喜びよ(バッハ)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『主よ,人の望みの喜びよ』です。この曲はJ.S.バッハが1723年に作曲した教会カンタータBWV147『心と口と行いと生活で』の終曲にあたる『イエスは変わらざるわが喜び』をイギリスの女流ピアニスト マイラ・ヘスが編曲したものです。

あまりにも美しいメロディーなので、クラシック以外でも様々なジャンルでアレンジされていますが、マイラ・ヘスによるピアノ編曲が最も有名です。ヘス編曲の『主よ,人の望みの喜びよ』は、原曲にある器楽と声楽の持つ立体的な音の構築をピアノで再現した緻密さが秀悦で、これまで世界中の大ピアニストがこの編曲を演奏してきました。

今回の動画ではディヌ・リパッティの録音を紹介しております。録音そのものはモノラルによる古い記録となっていますが、この作品の最も美しい演奏の一つとして知られている魂の音をぜひお楽しみください。

トルコ行進曲(モーツァルト)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『トルコ行進曲』です。正確にはモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番の第3楽章の俗称で、オスマン帝国の軍楽隊に刺激されたロンド形式の作品です。

有名な行進曲の部分は、左手が正に軍楽隊そのもので、右手のオクターブによる堂々としたメロディーが印象的。また、このピアノ・ソナタ11番はソナタ形式がないソナタとしても有名な作品です。

ピアノの発表会でも人気の高い『トルコ行進曲』ですが、粒の揃った演奏は極めて難しい作品と言えます。ただし、音から文化や歴史がイメージしやすい作品ですので、感受性のある幼少期に取り入れると良い楽曲でもあります。

とにかく親しみやすいピアノ曲ですし、モーツァルトの陰と陽がバランスよくブレンドされているので、モーツァルトの他の作品に触れる切欠にもなる楽曲でしょう。

エリーゼのために(ベートーヴェン)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『エリーゼのために』です。この曲はこの記事の最初に紹介したバダジェフスカの『乙女の祈り』と並び、日本でのクラシックピアノの代名詞的存在です。

『エリーゼのために』はベートーヴェンの死後に心を寄せていたテレーゼ・マルファッティの書類から発見された作品で、何らかの理由でテレーゼがエリーゼになってしまったと言われています。

『エリーゼのために』は、演奏技術がそれほどなくても、それなりに弾けるように工夫されたピアノ曲ではありますが、要所要所にベートーヴェンならではのモチーフが見えますので、容易に弾ける曲ではありません

しかし、感傷的で切ない思いが詰まった美しいメロディーは、ピアノ音楽を愛する者にとっては正にエバーグリーンそのものと言えるでしょう。

即興曲第2番(シューベルト)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『即興曲第2番』です。『即興曲第2番』はシューベルトが1827年に作曲した4つの即興曲作品90の第2曲で、即興曲と名前が付いていますが、即興で作られたものではなく、自由な旋律を優先した即興的要素のあるピアノ独奏曲です。

三連符による殆ど休みのない音階が中心となった技巧的な旋律が有名で、挿入部の舞曲的な箇所は、オーストリアの庶民的な雰囲気と男性的な力強さが印象的です。

シューベルトの他のピアノ・ソナタやさすらい人幻想曲よりも難易度が低いとされていますが、オーストリアの庶民的な要素を表現するという意味では非常に難しい曲と言えます。

この『即興曲第2番』を聴いてみて、もし気になりましたら、ぜひ作品90の他の3曲も聴いてみましょう。歌曲王と称されたシューベルトのメロディーをお楽しみください。

幻想即興曲(ショパン)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『幻想即興曲』です。『幻想即興曲』はショパンの4つある即興曲で最初に作られたもので、ショパンの死後に楽譜が出版されました。

また『幻想即興曲』はショパンが付けた作品名ではなく、ショパンの友人によって付けられたものです。この曲は、おそらくショパンの作品では最もポピュラーなピアノ曲だと言え、プロのリサイタルでも頻繁に演奏される名曲です。

技巧的にもピアノの可能性を追求した作品なので、ピアノを習っている子どもにとっては憧れの曲でもあります。シューベルトの即興曲と通じるところは、構築していくというよりは、形式にとらわれない自由な音を優先に書かれているあたりでしょう。

そのためか、ショパンの弾き癖のようなものも『幻想即興曲』には含まれているとも言われています。

春の歌(メンデルスゾーン)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『春の歌』です。『春の歌』はメンデルスゾーンが1842年に作曲した『無言歌集』第5巻作品62の6番目のピアノ曲で、『無言歌集』の中で最も有名です。

メロディーは親しみやすく、一度聴いたら忘れられない優しくて美しい音色が特徴で、言葉のない歌曲という無言歌の意味がとても分かりやすく仕上げられています。また、メロディーには装飾音が付いていますが、あくまでも飾りというニュアンスで演奏することにより上品な響きにすることができます。

『無言歌集』は全部で8巻まで作られていますが、どの巻の楽曲もプロでなくても楽しむことができ、小品として今も多くのピアノ愛好家から支持されています。また、その親しみやすいメロディーから、現在ではピアノ独奏曲としてだけでなく、独奏楽器とピアノ伴奏による編曲も頻繁に演奏されています。

トロイメライ(シューマン)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『トロイメライ』です。『トロイメライ』はシューマンが1838年に作曲した『子供の情景』作品15の7番目の曲で、曲集の全体から見ると子どもの心を描いた作品だと解釈できますが、感覚としては、子どもの頃に見たり感じたりしたことを大人の視点から描いているとも言えます。

『トロイメライ』とはドイツ語で夢という意味を持つ言葉ですが、子どもの頃の思い出や想像、空想などを音で描いているようで、音の交わりと響き、時間軸の感覚が面白い作品です。この曲もクラシックピアノの作品では常に人気があり、発表会でもよく取り上げられるので耳にしたことがある方も多いと思います。

子どもの持つ時間の感覚と大人から見た空想の世界が結びついており、最初から最後まで余韻が楽しめる作品です。もし『トロイメライ』に興味を持たれましたら、『子供の情景』の全曲を通して聴くことをおすすめします。

愛の夢第3番(リスト)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。続いて紹介するピアノ曲は、『愛の夢第3番』です。『愛の夢第3番』は、リストがもともと歌曲として作曲していた作品をピアノ独奏曲に編曲した『3つの夜想曲』の第3曲です。

曲名の通り、非常にロマンティックな作品で、リストならではのピアニスティックな技巧が随所に散りばめられていますが、派手に演奏をすると全く逆効果になってしまい品がなくなります。感情的にならず、愛しさを持つことでこの曲の持つ喜怒哀楽が際立つと言えます。

また、もともと歌曲として作られたものを自らピアノ独奏用として編曲し直した経緯を知ると、楽器として歌える曲として構築されていることに気付きます。この『愛の夢第3番』は、『3つの夜想曲』では単独で演奏されることも多いですが、他の2曲も素晴らしい作品なのでぜひ聴いてみてくださいね。

月の光(ドビュッシー)

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選。最後に紹介するピアノ曲は、『月の光』です。『月の光』はドビュッシーが1890年頃に作曲したピアノ独奏曲『ベルガマスク組曲』の第3曲です。

『ベルガマスク組曲』は、ドビュッシーのピアノ作品では初期のものですが、その親しみやすく美しい曲調は人気が高く、特に『月の光』は単独で演奏されることの多い名曲です。

『ベルガマスク組曲』は、ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』に収録の『月の光』に影響されていると考えられていますが、ピアノの音、和声、旋律、響きで情景や空気感を表現しているところが実に見事な作品です。

興味のある方はヴェルレーヌの詩も読んでみましょう。ドビュッシーは印象派の先駆的な存在でもありますが、『月の光』はロマン派の影響が強く、抒情的で洗練されたフランスの音を楽しむことができます。

美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選【まとめ】

「美しいクラシックピアノ珠玉の名曲10選」と題しましてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?今回紹介したピアノ作品は、誰もが一度は耳にしたことがある名曲ばかりですが、メロディーは知っていても作品名がわからないといった方もいらっしゃると思いますので、クラシックピアノの作品に触れる一つの切欠になれば嬉しいです。

また、今回紹介した作品を聴いてみて、他の作品に関心を持ってもらえたら幸いです。これらの名曲は、クラシックだけでなく、ジャズやポップス、ロック、エレクトロニカなど様々なジャンルでアレンジもされているものも多くあるので、好みの音を探してみましょう。

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