ジャズ入門におすすめの名盤10選

ジャズはアメリカ南部発祥の音楽ジャンルの一つで、アフリカ系アメリカ人のリズムとヨーロッパの伝統的な音楽理論や技術が融合された独特の表現形式で、さまざまな人種が入り混じったアメリカならではの文化によって急速に発展した音楽です。事実、ジャズは黒人の音楽というわけではなく、ジャズが派生する過程では、多くの白人もその発展に貢献しており、そこがジャズの面白さでもあります。そこで今回は、「ジャズ入門におすすめの名盤10選」と題しまして、ビッグバンドやビバップ、モダン・ジャズ、フリー・ジャズ、フュージョンで押さえておきたい名盤を10枚紹介していきます。どのアルバムもおすすめですが、皆さんにとっての好きな1枚が見つかれば嬉しいです。

目次

ジャズ入門におすすめの名盤10選

今回紹介するジャズ入門のアルバムは次の通りです。

1.Miles Davis – Kind of Blue
2.Charlie Parker – Now’s the Time+1
3.Art Blakey & the Jazz Messengers – Moanin
4.John Coltrane – A Love Supreme
5.Louis Armstrong – Satchmo In Style
6.Wes Montgomery – A Day In The Life
7.Weather Report – Heavy Weather
8.Stephane Grappelli – Tributo to Django Reinhardt
9.Bill Evans – Portrait in Jazz
10.Chet Baker – Sings

それでは早速おすすめのアルバムを見ていきましょう。

Miles Davis – Kind of Blue

ジャズ入門におすすめの名盤10選。最初に紹介するアルバムはマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』です。このアルバムは1959年にリリースされたモダン・ジャズ屈指の名盤で、ジャズ入門者にとってこの1枚が最も入りやすい作品だと言えます。というのも、このアルバムに参加しているミュージシャンは、全員がモダン・ジャズの巨人と呼ばれている名プレイヤーですので、入門者にとっても好みのアーティストが見つけやすいというメリットがあります。クレジットを見ますと、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エヴァンス、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブというそうそうたる顔ぶれ。もちろん、音楽的にも素晴らしい内容の1枚で、コード進行を主体とせず、モードを主体としたモード・ジャズの完成形としても広く知られているアルバムです。簡単に言えば、より自由にソロプレイができるスタイルで、メロディーもじっくり聴かせる演奏が特徴的です。このアルバムだけは押さえておきましょう。

Charlie Parker – Now’s the Time+1

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはチャーリー・パーカーの『Charlie Parker – Now’s the Time+1』です。このアルバムは1952年と1953年に録音されたワン・ホーンの傑作です。ワン・ホーンとは管楽器が1人のみの編成を意味しており、このアルバムではチャーリー・パーカーのアルトサックスを指しています。チャーリー・パーカーは、モダン・ジャズの原型であるビバップのパイオニアであり、ジャズにおけるアドリブで最も影響力のあるプレイヤーで、名曲も多く書いています。今回紹介するアルバムは、彼が残した録音の中でも聴きやすい内容で、ノイズも少なくジャズ入門者にもおすすめできます。おそらく、ジャズをあまり耳にしたことがない方なら、チャーリー・パーカーの良さを感じていただけるのではないかと思います。まずは先入観なしに、自由に奏でられているその音を楽しんでみましょう。

Art Blakey & the Jazz Messengers – Moanin

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの『Moanin』です。このアルバムは1958年にリリースされたアート・ブレイキーの代表作の1つで、タイトル曲はファンキー・ジャズの名作として非常に人気があり、現在でも多くのアーティストが演奏で取り上げています。その、独特のフレーズはゴスペルの影響が強く、聴く者を一瞬で魅了させる不思議な説得力があり、収録されている他の作品への前奏曲的な役割も果たしています。アート・ブレイキーはこのアルバムを含め多くの名盤を残していますが、彼のドラムの良さと親しみやすさが最も伝わりやすい作品としてこの『Moanin』を紹介しました。モダン・ジャズという枠だけに限らず、アート・ブレイキーは、アフロ・キューバンリズムをドラムセットで表現したパイオニアであり、あらゆるジャンルのリズムに影響を与えています。ぜひ他のアルバムもチェックしてみてくださいね。

John Coltrane – A Love Supreme

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはジョン・コルトレーンの『A Love Supreme』です。このアルバムは1965年にリリースされたモダン・ジャズの傑作で、フリー・ジャズの予感が含まれた重要な作品でもあります。内容としましては、コルトレーンが神に捧げた4部構成の組曲となっており、インドやアフリカの地域のリズムから大きな影響を受けたと言われています。ただ、そのような複雑な構成や理屈は作品を知るうえで確かに重要なものかもしれませんが、まずはその音を聴いてみていただきたいです。先入観なしに、ただコルトレーンの音に身を委ねる感覚で聴いてみましょう。おそらく、先入観なしにこのアルバムを聴かれた方の殆どは、その温かみのある音に衝撃を受けることでしょう。マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルビン・ジョーンズと、参加ミュージシャンも素晴らしいので覚えておくといいでしょう。

Louis Armstrong – Satchmo In Style

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはルイ・アームストロングの『Satchmo In Style』です。このアルバムは1958年にリリースされたサッチモ(ルイ・アームストロングの愛称)とゴードン・ジェンキンスによる、ポップスタンダード集です。サッチモはトランペットの天才的な名手ですが、ヴォーカリストとしても広く親しまれており、有名なところでは『この素晴らしき世界』があります。また、アドリブ歌唱法のスキャットの第一人者としても知られていますが、サッチモが話すだけでジャズになると言われるほど優れたテクニックがあり、決して美しい声ではありませんが、その味のある独特な声に多くのジャズ・ボーカリストも影響を受けています。今回紹介のアルバムでは、サッチモの温かみのある歌声が存分に楽しめます。そして、ゴードン・ジェンキンスのオーケストラとコーラスも見事な演奏を聴かせており、ジャズ・オーケストラの醍醐味も楽しめます。

Wes Montgomery – A Day In The Life

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはウェス・モンゴメリーの『A Day In The Life』です。このアルバムは1967年にリリースされたイージーリスニングの名盤で、オーケストラにウェスのギターが乗っかるような形でスタンダードを聴かせる内容となっています。ただ、発売当時のことを想像するとかなり斬新なヒット曲メドレー的なアルバムだったのではないかと感じてしまいます。タイトル曲はもちろんビートルズのカバーです。ウェスのギターは小編成のバンドスタイルのイメージが強いのですが、オーケストラをバックにした演奏も実に味があって素晴らしいです。レコーディングには、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、グラディ・テイトといったモダン・ジャズの巨匠が参加しており、イージーリスニングだけれどもファンキーなリズムも楽しめます。ウェスのギターはオクターブ奏法と呼ばれており、その分厚い音のファンは多いので、気になった方は、バンド編成のアルバムもぜひチェックしてみてくださいね。

Weather Report – Heavy Weather

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはウェザー・リポートの『Heavy Weather』です。このアルバムは1977年にリリースされたウェザー・リポート8枚目の作品で、ジャコ・パストリアスが参加した2作目でもあり、グループ最大のヒット作です。1曲目の『Bardland』のメロディーがあまりにも有名ですが、ジャコのフレットレス・ベースによるピッキング・ハーモニクスが際立っており、不動の人気となりました。ウェザー・リポートはジャズにファンクやロックなどの要素を取り入れたフュージョン・グループで、ジョー・ザビヌルがシンセサイザーを初期の段階から導入し、最強のエレクトロニック・ジャズバンドに成長させました。『Heavy Weather』は、1970年代で最も商業的に成功したジャズ・アルバムとして歴史的な価値もあると言われていますが、理屈抜きに素晴らしい内容のアルバムですので、最後まで存分にお楽しみいただければと思います。

Stephane Grappelli – Tributo to Django Reinhardt

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはステファン・グラッペリの『Tributo to Django Reinhardt』です。このアルバムは2009年にリリースされたジャンゴ・ラインハルトのトリビュート作品で、ステファン・グラッペリが1970年代にMPSでリリースしたアルバムに収録された音源で構成されています。ステファン・グラッペリはジャズ・バイオリニストの第一人者として世界中で大活躍した巨人です。その美しい音色は、ジャズのあらゆるグルーヴにも溶け込み、誰が聴いても彼の音だと気付いてしまうほど個性が際立っています。このアルバムでは、彼が1948年まで活動を共にしたジャンゴ・ラインハルトの楽曲を思う存分に楽しむことができます。編成は彼らが結成したフランス・ホット・クラブ五重奏団に近い内容で、ジャンゴへの敬意を感じることができます。ジャンゴ・ラインハルトは、ジプシー・スウィングの創始者で、彼のギターから影響を受けたミュージシャンは数えきれません。気になった方はぜひSP録音の音源を聴いてみましょう。

Bill Evans – Portrait in Jazz

ジャズ入門におすすめの名盤10選。続いて紹介するアルバムはビル・エヴァンスの『Portrait in Jazz』です。このアルバムは1959年にリリースされたエヴァンスの4作目で、『Waltz for Debby』と共に彼の代表作として知られている名盤です。ビル・エヴァンスのピアノにスコット・ラファロのベース、ポール・モチアンのドラムによるトリオ編成は、3人とも対等に演奏しており、特にベースとピアノによるコールアンドレスポンスは当時としてはかなり斬新で、それぞれの楽器がソロとしての役割も果たしているのが特徴です。収録されている曲は、主に現在ではスタンダードのナンバーが中心ですが、エヴァンスならではの多彩な音色とアドリブが楽しめる内容となっており、モード・ジャズの一つの答えとして多くのアーティストに影響を与え続けています。特に即興の中で緻密に作り上げていくエヴァンスとラファロの音作りは感動的です。トラック最後の『Blue In Green』は必聴です。

Chet Baker – Sings

ジャズ入門におすすめの名盤10選。最後に紹介するアルバムはチェット・ベイカーの『Sings』です。このアルバムは1956年にリリースされたウエストコーストを代表する作品として知られています。チェット・ベイカーは優れたトランペット奏者ですが、ヴォーカリストとしても実に素晴らしく、その中性的で洗練された歌声は今でも多くの人を魅了し続けています。特に、このアルバムに収録されている『My Funny Valentine』のカバーは、彼の代表的な録音の一つで、多くのアーティストが同曲をカバーしていますが、彼のカバーは非常に人気が高く、決定的な名録音となっています。アルバムは発売当初モノラル盤としてリリースされましたが、後にステレオ盤も発表されており、現在はそのどちらもCDで入手することができます。ジャズ・ボーカルの名盤も数多くありますが、入門として選ぶなら迷わずこのアルバムをおすすめします。チェットの他の作品もぜひ聴いてみてくださいね。

ジャズ入門におすすめの名盤10選【まとめ】

「ジャズ入門におすすめの名盤10選」と題しましてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?おすすめのジャズの名盤は挙げだすと膨大な量になりますので、今回はジャズ入門に押さえておきたい10枚だけ選びました。もちろん、音の好みも分かれるところはあると思います。ただ、今回紹介した10枚は、ジャズを聴き始めたら必ずいつかはどこからで出会うものばかりです。そして、少なからず好きなアーティストの誰かが強く影響を受けたジャズの巨人ばかりです。もし、少しでも気になるアルバムや曲があれば、そのアーティストの他の作品も聴いてみることをおすすめします。そうこうしているうちに、ガイドなどなくても、お気に入りのアーティストや作品に出合うこと叶うでしょう。まずは入口として今回紹介したアルバムを聴いてみて下さいね。皆さんの参考になれば嬉しいです。

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