個人作曲家の依頼料の相場とは?

皆さんは、楽曲提供をした場合の相場についてご存知でしょうか?プロの世界では、基本的に、楽曲を依頼されるということは、報酬が発生する場合がほとんどです。報酬が発生するということは、その金額に見合った作品を提供することになります。

楽曲提供は、主に作曲することを生業にする専業作家の仕事となります。つまり、食べていくだけの収入が必要になるわけです。では、実際に専業作家の依頼料の相場はどれくらいなのでしょうか?

そこで今回は、「個人作曲家の依頼料の相場とは?」と題しまして、専業作家が楽曲提供した場合の相場について詳しくお伝えしていきたいと思います。

個人作曲家の依頼料の相場とは?

今回は、下記の内容で個人作曲家の依頼の相場についてお伝えしていきます。

・インターネットには注意しましょう
・作曲提供の案件にはコンペティションと指名案件がある
・印税契約と買い取り契約はどちらが得なのか?
・個人作曲家の報酬の相場について
・実績を重ねていくことが最も重要
・まとめ

それでは、詳しく見ていくことにしましょう。

目次

インターネットには注意しましょう

近頃では、インターネットの普及に伴い、これまでのような発注者から直接依頼を受けて作業をする方法とは異なり、発注者がネットを介して不特定多数の人へ作業募集をするクラウドソーシングが当たり前のようになってきています。

不特定多数の人の中には、作業をやりたい人もいれば、やりたくない人もいますが、発注者にとっては、何百何千の中から一人でも作業をしたい人がいれば良い場合もあるため、報酬の額も自由に設定することが可能です。

しかし、クラウドソーシングの中には、実際の報酬よりもかなり低い設定で作業募集をしている発注者も存在します。作曲についても、クラウドソーシングによる募集があります。

クライアントの中には、もちろん、ちゃんとした人もいますから、専業作家のことを考えて、それに見合う報酬を出してくれる場合もありますが、そうでない場合もあるので注意しましょう。

クラウドソーシングでは、安いものだと1万円で楽曲募集をしている発注者も存在します。しかし、これは正直プロの仕事ではありません。副業として、お小遣い稼ぎ程度でも良いというセミプロの人も存在しますが、あまりにも自分を安売りし過ぎです。

どのような仕事でも、それ相応の報酬があります。専業作家を目指している方は、楽曲提供する場合の報酬の相場・依頼料を把握しておいた方が良いでしょう。まず、楽曲提供の流れから見ていくことにしましょう。ここを押さえておけば、リスクの少ない仕事をしていくきっかけにつながると思います。

作曲提供の案件にはコンペティションと指名案件がある

作曲提供の案件は、大きく分けて2つあり、一つ目はコンペティションで、二つ目は指名案件です。では、コンペティションと指名案件について見ていくことにしましょう。

コンペティション

コンペティションとは、競争、競技、競技会などの意味があり、音楽では、コンクールなどでもこの言葉をよく耳にします。身近なところでは、ゴルフのコンペですね。

作曲提供のコンペティションは、プロダクションやレコード会社が広範囲にクリエーターから楽曲を募集して、選考の上採用する仕組みのことで、コンテストと呼ばれることもあります。

コンペティションで募集する案件は、映画、舞台、イベント、CM、アーティストの楽曲、などさまざまです。映画やCMなどで楽曲が採用された場合は、報酬が発生する場合もありますが、アーティストの楽曲では、売れた場合のみ報酬が発生といったケースもあります。

しかし、コンペティションは作曲家として実績を積むことにつながります。より多くのコンペティションに参加して、実績を積むことにより、作品がプロダクションの目に留まり、楽曲の制作依頼はもちろん、専属としてスカウトされることもあります。

専業作家を目指している方は、クラウドソーシングなどをする前に、より多くのコンペティションに参加して、実績を作ることをおすすめします

指名案件

指名案件は、プロダクションやクライアントから制作依頼がある案件です。基本的に、指名案件は印税契約です。印税契約とは、印税が発生した場合のみ報酬が得られます。しかし、この印税契約というものは、楽曲が売れなければ報酬は期待できません。

一方、印税契約に対して、買い取り契約があります。買い取り契約とは、独占的に楽曲を使用する権利を買い取る契約のことです。買い取り契約の楽曲の多くは、歌なしのインストゥルメンタルです。

買い取りですので、買い取られた作者は、許可なしでその楽曲を使用(演奏)することはできません。つまり、著作権ごと買い取られるということです。ただ、買い取り契約は、確かな報酬があります。

プロダクションでの買い取り契約の場合だと、10~30万円程度の報酬があります。専業作家として作曲を生業にしているクリエーターの多くは、最低でも15万円以上での作曲提供が相場となっています。

もちろん、曲の規模や編曲の有無などによって額面は左右されます。

印税契約と買い取り契約はどちらが得なのか?

お伝えしている通り、指名案件には印税契約と買い取り契約があります。では、印税契約と買い取り契約はどちらが得なのでしょうか?これは、ケースバイケースで、それぞれの案件の内容により判断が分かれます。

例えば、ヒットすることが間違いない楽曲の場合は、買い取り契約より印税契約のほうが得です。また、売れることを目的としていない楽曲の場合なら、確かな報酬のある買い取り契約のほうが得です。

この辺りは、専業作家として実際に仕事をするようになった際、ポイントになりますので、感覚だけでも押さえておきましょう。

今回は、大まかなところのみをお伝えしていますが、専業作家として働くようになったら、細かなところまで勉強する必要があります。どういうことかと言いますと、クリエーター自身もそうですが、作品そのものに対しても、決して損のない契約が大切です。

プロダクションやクライアントも損はしたくありませんので、自分たちに有利な契約を求めてくる場合もあります。作曲提供だと、日本だけでなく、海外のプロダクションと契約することも考えられます。

国が変われば、私たち日本人の常識が通じないこともあるので、注意が必要です。

個人作曲家の報酬の相場について

個人作曲家は、フリーランスと呼ばれることもありますが、要は、個人事業主のことです。プロダクションなどに所属や専属で契約するのとは違い、完全出来高となります。つまり、作曲をすることで生活をしていかなければなりません。

専業作家を希望されている方は、好きなことでご飯が食べられると思われるかもしれませんが、商売ですので、売れなければ食べていくことはできません。クリエイティブな仕事は、常に新しい発想と柔軟性が求められます。決して夢のような世界ではないのです。

才能はもちろんですが、心からやりたいと思う強い心と、実績を重ねていく努力を惜しまないという方は、挑戦してみてはいかがでしょうか?

さて、個人作曲家の報酬の相場ですが、案件の内容によって違いが生じます。作曲依頼は本当にさまざまです。大まかに分けると、映画、舞台、イベント、CM、アーティストの楽曲などになります。

歌モノかインストゥルメンタルかでも違いはありますが、編曲までするとなると、さらに報酬の額面は違ってきます。では、具体的な数字を見ていくことにしましょう。

歌モノの報酬の相場

歌モノは、作曲だけの場合と、作曲・編曲を合わせておこなう場合とで報酬の額面に違いで出てきます。作曲だけの場合だと、およそ5~10万円くらいといったところでしょう。作曲・編曲の場合だと、10~20万円くらいです。

もちろん、プロダクションや案件の内容によっては、この数字以上の額面になる場合もあります。しかし、現状としては、昨今のCD売り上げなどの影響もあるため、以前のような100万円を超えるような報酬は一部を除いてありません。

インストゥルメンタルの報酬の相場

CMや舞台、映画、企業のテーマ曲、などの報酬は、ケースバイケースです。5分を満たない企業のテーマ曲、BGMなどは、およそ3~5万円くらいが相場となっています。中には、30秒ほどのテーマ曲だけで10万円の報酬が出ることもありますし、大企業のCMなどでは20万円を超えることも珍しくありません。

ただ、近頃では自宅のパソコンなどで気軽に作編曲ができることもあり、よりクオリティの高い楽曲提供が求められるようになってきています。気になる方は、CM音楽などを意識して聴いてみることをおすすめします。

音楽の場合、何が必要とされているのか、時代の流れが最もわかりやすく反映しているのがCMだと言えます。ぜひ参考にしてみましょう。

  • 歌モノの作曲のみ提供の場合、相場はおよそ5~10万円くらい
  • 歌モノの作編曲の提供の場合、相場はおよそ10~20万円くらい
  • インストゥルメンタルの楽曲提供の場合、相場は3~5万円くらい

と見ておいて良いでしょう。
ただし、この額面はあくまでも参考程度にしておいてください。

先ほどもお伝えした通りですが、個人作曲家は個人事業主です。コンペティションや作曲提供で実績を重ねた方の多くは、決して自分の作品を安売りすることはありません。ここを安売りしてしまうと、他の個人作曲家にも悪い影響が出てきてしまいます。

実績を重ねていくことで、およその相場は見えてきます。それよりも下回る依頼は断ることも大切です。

実績を重ねていくことが最も重要

ここまで個人作曲家の依頼料の相場についてお伝えしてきましたが、専業作家を生業にしていくためには、とにかく実績を重ねていくことが最も重要だと言えます。この記事の初めでもお伝えしましたが、インターネットでの仕事の依頼は十分に注意してください

失敗は成功の基とは言いますが、着実に実績を積んでいくことのほうが大切です。そのためには、より多くのコンペティションに参加することです。コンペティションにはさまざまな案件があります。採用される場合もあれば、採用されない場合もあります。

どちらかと言えば、採用されないことのほうが多いかもしれません。たとえ不採用だったとしても、なぜ採用されなかったのか?何が足りなかったのか?という部分が活きてきます。

また、自分が参加したコンペティションで採用された他の方の作品を聴いてみましょう。これが一番の学習になります。企業やクライアントが何を求めていたのかが理解できます。どうか自分に納得できるまでコンペティションに参加してみてください。

そして、採用された場合も、そこで立ち止まるのではなく、採用された感覚を忘れないようにしましょう。自分では予想もしていなかった作品が採用されるケースも多々あります。たとえその作品が自身で評価していなかった場合でも、その案件にはフィットした楽曲なのです。

実績を重ねていくことで、何が求められているのか?相場はどうなのか?という感覚が身に付いてきます。ぜひ、多くのコンペティションに参加してください。

まとめ

「個人作曲家の依頼料の相場とは?」と題しましてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?今回紹介した相場の額面は、あくまでも目安です。専業作家を目指している方は、まずコンペティションから参加するようにしてください。

そして、実績を積んでいくことで、自然と指名案件が増えてきます。そうこうしているうちに、およその相場が見えてきます。何度もお伝えしていますが、とにかく実績を重ねることが大切です。この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。

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